作詞 中島みゆき / 作曲 中島みゆき / リリース 1983/3/5
あたし中卒やからね 仕事を
もらわれへんのやと書いた
女の子の手紙の文字は
とがりながらふるえている
ガキのくせにと頬を打たれ
少年たちの眼が年をとる
悔しさを握りしめすぎた
こぶしの中 爪が突き刺さる
私、 本当は
目撃したんです
昨日電車の駅、階段で
ころがり落ちた子供と
つきとばした女のうす笑い
私、驚いてしまって
助けもせず叫びもしなかった
ただ恐くて逃げました
私の敵は 私です
ファイト!
闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト!
冷たい水の中を
ふるえながら
のぼってゆけ
暗い水の流れに
打たれながら
魚たちのぼってゆく
光ってるのは傷ついて
はがれかけた鱗が
揺れるから
いっそ水の流れに
身を任せ
流れ落ちてしまえば
楽なのにね
やせこけて
そんなに やせこけて
魚たちのぼってゆく
勝つか負けるか
それは わからない
それでもとにかく闘いの
出場通知を抱きしめて
あいつは海に
なりました
ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が
笑うだろう
ファイト!
冷たい水の中を
ふるえながら
のぼってゆけ
薄情もんが田舎の町に
あと足で砂ばかけるって
言われてさ
出てくなら
おまえの身内も
住めんように
しちゃるって 言われてさ
うっかり燃やした
ことにして
やっぱり燃やせんかった
この切符
あんたに送るけん
持っとってよ
滲んだ文字 東京ゆき
ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が
笑うだろう
ファイト!
冷たい水の中を
ふるえながら
のぼってゆけ
あたし男だったら
よかったわ
力ずくで男の
思うままに
ならずにすんだかも
しれないだけ
あたし男に生まれれば
よかったわ
ああ 小魚たちの群れ
きらきらと
海の中の
国境を越えてゆく
諦めという名の鎖を
身をよじって
ほどいてゆく
ファイト!
闘う君の唄を
闘わない奴等が
笑うだろう
ファイト!
冷たい水の中を
ふるえながら
のぼってゆけ
ファイト!
闘う君の唄を
闘わない奴等が
笑うだろう
ファイト!
冷たい水の中を
ふるえながら
のぼってゆけ
ファイト!